ソムリえもん.com

ミシュラン星付きワインソムリエが料理やお好みだけでなく、流行りや季節またまた音楽や映画に合ったワインをセレクトしておすすめしていきます!

ワインの世界へようこそ

 はじめまして。

ワインと美味しい料理と音楽と映画が大好きな35歳ソムリエです。

 

このブログではワインと料理のマリアージュだけではなく、

“音楽とワイン”や“映画とワイン”のマリアージュを紹介させていただきます。

 

『NO WINE NO LIFE!』をテーマに、皆さまのLIFEがこのブログを通して

少しでも華やかでステキなものになっていただければ幸いです。

 

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まずは知ってもらいたいワインについて大切な2つのこと

1.ワインは100%ぶどうである

2.ワインは嗜好品である 

1.ワインは100%ぶどうである

皆さまはもうすでにご存じですよね。ワインはぶどうからできています。

ただ、そのことについて深く考えたことのない方は多いと思います。

ソムリエをやっていくうえでは一番大切なことだと思います。

 

日本ソムリエ協会が出版している辞書みたいな分厚い教本には

ワインとは・・はこう定義させています。

「ぶどう果実を原料として醸造した酒類をいう。ぶどうはそのままでも発酵可能

 な糖分を含んでいるため、穀物を原料とする酒類と異なり、デンプンを糖分に

 糖化する必要はない。そのため、ワインは原料となるぶどうの性質を色濃く

 反映することになる

 

つまり、ぶどうを潰しただけでワインになるということです。

 

アルコール発酵に必要な要素は糖分と酵母です。

ぶどうには果糖と果皮のまわりなどに酵母が付着しているので、

一人で勝手にワインになることができます。

もちろんワインには水は一切使用されてません。

ぶどうの水分のみです。

 

ビールはどうでしょう?

原料:麦芽、ホップ、水、副原料(とうもろこし等)

醸造麦芽のデンプンを糖分に変えて、水を加え、ホップで苦みや香りを付ける

 

日本酒はいかがでしょう?

原料:米、米麹、水

醸造:米のデンプンを糖分に変えて、水と麹を加えて発酵させる

 

ワイン以外のお酒は何かと何かを足して、糖分を作って発酵させなければ

いけません。

美味しい日本酒を飲むと「これは米がいいのか?水がいいのか?」

なんか曖昧ですよね。

 

なにが言いたいかというと、ワインは1つだけの原料で造る

唯一無二のお酒だと認識していただきたい!

 

ワインは色んなことを語りかけます。

 

その年はどんな天候だったのか。

そのヴィンテージはこんな革命が起きたとか。

この大地は大昔、実は海だったとか。

 

またワインを造った人の想いやパッションも見事に表現します。

 

だから、人々はワインに魅了します。

たった1種類のぶどうからできたお酒に何万、ときには何百万円を出します。

それはワインに詰まった想いや思い出を買っているのかも知れませんね。

 

ワイン造りには「天・地・人」の3つバランスが重要です。

天=ヴィンテージ(収穫年)

地=テロワール(土壌)

人=造り手

 

すべて備わっていないと偉大なワインの称号は得られません。

「天・地・人」に関してはまた別の記事で詳しくご説明致します。

 

2.ワインは嗜好品である

ソムリエとして、レストランでのお客様の一番難しいオーダーは

「美味しいワインを持ってきてください。」とおっしゃられること。

 

“ソムリエの腕の見せ所”ではありますが、頭をフル回転して考えます。

 

辛口なのか?甘口なのか?

 

そもそも白ワイン?赤ワイン?

→(聞いてみるが、大抵それもお任せの場合が多い)

 

食べている料理は?

 

値段はいくらのモノが喜ばれるか?

 

このお客様にとって一番美味しいものはなんなのか?

 

わたしの好きなマンガで『ソムリエ』というのがあります。もはやバイブルです。

このマンガがあって今の自分があるといっても過言ではありません。

 

舞台はレストラン。食通で有名な木崎というお客様にシェフはどんな料理を

提供しようか悪戦苦闘しますが、なかなか気に入ってもらえません。

 

主人公のソムリエ、ジョー佐竹は考えます。

挙句、チョイスしたワインはロマネコンティでもなく、モンラッシェでもありません。

なんと!ヴァン・ショー(ホットワイン)でした。

 

あまりにも意外なワインにまわりはザワザワします。

それもそのはず、ヴァンショーはワインにハチミツなどを加えて加熱した

いわゆる子どもでも飲めます的なワインだからです。

 

木崎は怒りを露にします。がその香りに誘われ、ひと口。

 

胸いっぱいに押し寄せる感動があとを絶ちません。

シェフ渾身の料理が全く口に合わなかったのに、いったいなぜ?

まわりはまたザワザワします。

 

 

ジョーは木崎のスーツのズボンのシワに着目しました。

そのシワからは長いフライト時間を経て、そのままレストランへ直行した

のが伺えます。そんな疲れた胃にコッテリとしたフレンチはたとえ味が絶品でも

受け付けることができませんでした。

 

だからジョーは赤ワインにシナモンやジンジャー、ハチミツなど加えて、

加熱で少しアルコールが飛び、飲みやすくなったホットワインを提供しました。

 

 めちゃめちゃお腹が空いているときのカツカレーは、最高級の料理に勝るときが

ありますよね?(別に強要するつもりはないです。)

 

マンガ『ソムリエ』の自分が一番好きな場面でした。

 すいません、話がだいぶ脱線しました。

 

つまり“美味しいワイン”とは人それぞれだということです。

好きなファッション、好きなフレグランス、好きな音楽や映画と同じ。

 

だからワインも強要されてはいけないと思います。

皆さま、こんな経験ありませんか?

 

おすすめのワインを頼んで、ソムリエにチョイスしてもらった。

がしかし、美味しくない・・・

 

でもソムリエさんのおすすめのワインだし。

このワインを美味しくないなんて言ったら、自分の舌がおかしいなんて

バカにされるかも・・・

 

わたしはソムリエの立場で、こういった場面に遭遇したことがあります。

 

お客様からおすすめのワインをご注文いただき、お好みなども伺ったうえで、

細心の注意を払いワインをチョイスし、お客様にテイスティングしてもらった結果、

どうやら表情が曇っています。

 

たまらず「お口に合いませんでしたでしょうか?」と訊ねてみると、

「いえ、とても美味しいです!」と。

 

美味しくないって言ってもらっていいですよ!!!

パクチー大好きなヒトは本当に好きで言ってると思いますよ!

 

ちなみに当レストランではお客様のお好みに合わなければ、

新しいものに取り換えます。その際、最初に開けたボトルの代金はいただきません。

大切な食事のひとときを嫌いなワインに邪魔されたくないからです。

 

 

次回は料理とワインのマリアージュについてご説明します。